Kalappo's story
自分の理想や他人の意見に、翻弄されながら生きる、全ての人たちへ。
私が生まれたときから、この世には既にインターネットがありました。今では、ネットで検索するだけで必要以上の情報が一瞬にして手に入ります。でもそれは、便利を通り越して、むしろ選択肢を絞るための労力が必要になった気がするのです。選択肢がありすぎる世の中で、私たちは常に正しい判断をするため、さらなる情報収集をしなければなりません。そして情報を得れば得るほど、自分の理想は高まり、多種多様な人々の意見に振り回されてしまいます。そんな情報が有り余る世の中に、私はいつしかストレスを感じていました。
ある日のことです。私は夫と一緒にキャンプへ出かけました。芝生に椅子を置いて、何も考えずにボーっと座っていると、日頃感じていたストレスが和らぐのを感じました。頭の中に何も入れない空っぽな状態になると、不思議と満足感を得られました。思えば大学生の時も、制作に煮詰まった時には、校内の芝生に寝転がって気持ちをリセットしたものだと思い出しました。
私は、私と同じように、毎日情報に翻弄されながら生きている現代の人々に向けて、空っぽになれるきっかけづくりが出来たら、と考えました。例えばお部屋に飾ったファブリックパネルが目に止まったとき、そろそろお茶にしようかな、と思えたり、休日や休憩するとき専用に、身も心も休まるお気に入りのTシャツがあっても良いかもしれません。
前を向いて走り続けている人たちが、とりあえず一歩立ち止まって、気持ちを切り替えたり、今ある幸せに気づけるように。テキスタイルというメディアを通して、そんな空っぽになれる時間をデザインしていければと思っています。
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